山上から見る絶景がよく知られます。
しかし橋状になって陸を繋いでいる3.6キロの道も、歩きや自転車で通ることができるため、高くから見下ろす以外の楽しみ方もできます。
そこは6700本の松並木と白いビーチからなる白砂青松で、そこを通ったうえで山上に登って全体を見渡すと、よりその自然美に圧倒されます。
天橋立を山上から見る場合は、北側と南側のどちらの展望台も使えます。
おすすめはどちらかの展望台から一度眺めて、向かい側に歩きか自転車で渡り、渡った側の展望台からもう一度眺めることです。
僕は先に北側の「傘松公園」の展望台の方へ行きました。
麓からケーブルカーかリフトに乗ればすぐに着きます。
天橋立といえば股のぞきが有名ですが、その発祥はここだそうです。
股から覗くと空と海が逆転して、まさに名の通り天に橋が架かっているかのように見えるということから股のぞき用の台も置かれています。
ここではかわらけを投げて輪に通すことができたら願いが叶うという、「かわらけ投げ」が体験できます。
かわらけとは、素焼きの土器のことです。
写真で見ると簡単そうですが、意外に難易度が高いです。
僕は200円で3枚セットを買いましたが、1枚も輪を通りませんでした。
反対の南側は「天橋立ビューランド」という展望台になっていて、ここもリフトかモノレールで登れます。
北側からの景色は昇り龍に見えることから「昇龍観」、南側からの景色は龍が飛んでいるように見えることから「飛龍観」とよばれています。
この景色を見た人々が、神秘的なものに重ね合わせずにはいられなかったのがよく分かります。
ちなみに神話では、イザナギとイザナミが天への登り降りの浮き橋として使っており、イザナギが昼寝をしていて倒れたのが天橋立とされています。
地学上では、長い時間をかけて土砂が堆積して松が生い茂って完成した景色とされているそうです。
自然の異次元な壮大さを感じさせられます。
天橋立のある宮津市から18キロほど北上すると、「伊根の舟屋」という独特の風景の町並みを見ることができます。
天橋立からバスも出ていて、1時間ほどで着きます。
伊根湾沿いには、海沿いに船倉兼民家である舟屋が約230軒立ち並んでいます。
舟屋の一階は船のガレージとして使われており、二階は居室となっています。
木造船を海から引き上げて、風雨や虫から守るためにこのようなつくりになったそうです。
民家が海沿いぎりぎりに並んでいる光景は、まるで海上に浮かんでいるかのように見えるため、他ではない町並みとなっています。
ここは今でも暮らしている方がいるので、民家へ入ったり近くで写真を撮るということはできません。
ただ遠くから眺めるだけでも、暮らしや町並みが一元化してきたように思える現代だからこそユニークさを放っていました。