鹿児島県南九州市知覧町にある「知覧特攻平和会館」は、いろいろなところからバスが出ているようですが、僕は鹿児島中央駅から1時間以上バスに乗って行きました。
ここへ行って人生観が変わったという人は多いそうで、僕もこれまでさまざまな博物館に行きましたが、ここ以上に衝撃を受けたところはありませんでした。
というのもここではアジア太平洋戦争時、日本軍の特攻隊員が家族などに宛てた手紙が数多く展示されています。
死ぬと分かっている作戦を前にして、親に向けて感謝を述べたり親不孝を恥じる手紙を残した特攻隊員たちには胸を痛めずにはいられません。
「こんなに勇敢な人たちがいたのだから、現代人ももっと力強く生きるべき」という考え方をする人もいるようですが、僕はそこには違和感を感じてしまいます。
その考えはどこか前向きで、特攻隊員たちを無理矢理神格化しているように思えるからです。
特攻隊員たちも自分たちと同じで未来の残された1人の人間だったわけで、その未来を非道な軍の作戦が潰したのが特攻というものでした。
それは決して前向きに捉えたり英雄視するべきことではなく、絶対に繰り返してはならない悲劇です。
自分たちの未来を国家や軍隊といったものに奪われることのないように、そのためにこそ特攻という事実と向き合わなければなりません。